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トピックス 筋膜リリース注射について
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【はじめに】
ここ数年”筋膜リリース”という言葉が新聞、テレビ、書籍などで取り上げられ、注目されるようになっているようです。
当院でも受診された患者より聞かれることがありますが、ここで私なりの言葉で簡単に説明し、当院での治療の実際について紹介します。

首の痛み、肩の凝り、腰の痛みなどで医療機関を受診すると、それぞれの部位の動きに伴う痛みの発現や手足、肩甲骨まわりのジンジン、ビリビリなどのしびれ症状を所見を取りながら確認し、さらには”定番”のレントゲン撮影を受けることがほとんどであります。診察の結果、骨に明らかな変形や神経の圧迫を疑うような所見がなければ、通常は消炎鎮痛剤、筋緊張緩和剤、湿布を処方され、場合によっては首や腰の牽引などの物理療法を受けたりすることになります(実際当院でも行っております)。

しかしここ数年来、器質的な病気を除外されたこれらの症状の根本は筋肉の凝り(収縮や伸展不良)、または隣接する筋肉同士の滑動性の悪化にあると考えられ、これらを改善する目的に筋膜リリース体操やマッサージが考案されるようになりました。そして自ら行う体操やマッサージの代わり...に病変部位の筋肉表面を覆っている筋膜に薬液を注入し、剥がすことで、これらを瞬時に改善させるのが筋膜リリース注射(hydrodissection)であります。実際のところ、なぜ筋膜を剥がすことで痛み、凝りがとれるのか、機序についてはまだ解明されていないところですが。

当院でも超音波検査機器を導入した2年前より積極的に筋膜リリース注射を行っており、以下に各部位の実際の治療を紹介いたします。
なお、筋膜リリース注射が考えられた当初は生理食塩水が注入液として使用されてましたが、注入時の痛みが強いため、重炭酸リンゲル液を推奨している施設もありますが、当院では局所麻酔剤のリドカインを主薬液として使っております。



肩こりに対する筋膜リリース注射
超音波プローブを当てる部位(赤線)
薬液を注入する層(赤矢印)
なお、注入する部位や層に関しては患者の訴えるこりや圧痛、首の運動に伴う痛みにより違います。





【動画】僧帽筋と肩甲挙筋の間に薬液が注入され、間が剥がれていく(広がっていく)のが分かると思います。



【腰痛に対する筋膜リリース注射】
超音波プローブを当てる部位(赤線)
薬液を注入する層(赤破線矢印)
なお、注入する部位や深さは患者の訴える痛みの部位や痛みが誘発される動きにより違います。






【動画】多裂筋と椎弓の間に薬液が注入され、間が剥がれていく(広がっていく)のが分かると思います。



■これまで肩こり、腰痛および肩こりに対する当院での筋膜リリース注射について紹介いたしましたが、最近新たな試みとして膝痛に対しても行っており、紹介いたします。
写真に示すX線画像ですが、通常は膝の軟骨がすり減っている、いわゆる変形性膝関節症として、まだ手術まで勧めることなく、ヒアルロン酸の関節内注射が行われることが多いかと思います。
しかし、中には頻回の注射でも期待していたほどの効果が得られず、保存的治療に難渋してしまう方も少なからずおられます。
このような方に対しては痛みを訴える箇所に応じて部位を変え、筋膜リリース注射を行っております。
なお、筋膜リリース注射は疼痛を軽減させる目的で行われるものであり、変形を矯正するものではないことをご理解ください。




【変形性膝関節症に対する筋膜リリース注射:その1】
膝内側の痛みに対して軽度亜脱臼した内側半月板周囲の支持組織(側副靱帯)のリリースを行うことで疼痛が軽減されることがあります。
・プローブを当てる位置(赤太線)
・注射部位(赤破線矢印)





【その1:動画】

内側側副靭帯が剥がれていきます。



【変形性膝関節症に対する筋膜リリース注射:その2】
膝の伸展制限(伸びきらない)があり、膝外側の痛みを訴える方に対して行う筋膜リリース注射
・プローブを当てる位置(赤太線)
・注射部位(赤破線矢印)





【その2:動画】
総腓骨神経周囲のリリースに次いで、大腿二頭筋のリリースも行うことで疼痛が軽減される場合があります。




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